
皆さんは普段の英語学習にどんな教材を取り入れているだろうか
Ted Talk , YouTube channel , AI ,大学受験用参考書,など、いろいろあるだろう.
いろいろあるだろう。また、それぞれが目指す目標も異なるだろうから、一概にすべての学習者が使うべき教材というのは、基本的には言えない。
しかし、この基本的な概念を覆す存在が、英語学習者界隈に、影を潜めて存在している。
それは、そう、英英辞典ーーーEnglish-English dictionaryーーー である。
英語で、英単語を説明している辞典である。
聞いたことがある人も多いだろう。だが、多くの人が手をつけていないのもまた事実。これは実にもったいない。こんな可哀想な迷える子羊(英英辞典)を正しき飼い主(あなた)へ戻さなねればという強い使命感からこの記事を書いた。
改めて、今回は英英辞典が優れている理由を述べたい。また、私の使っている英英辞典の使い方を同時にお伝えしようと思う。
細かい英語のニュアンスを最低限の説明で理解できる。
英語の細かい違いを日本語で丁寧に表すととんでもなく長くなる。もしそれを省けば実際の文と対面したとき、程度の違い・範囲の違いのニュアンスで苦しむことになる。
ここで例を出そう。
「possibility」
この単語を、多くの人は「可能性」と答えるだろう。だが、実はそれだけでは説明として不十分だ。
Possiblyについて、ロングマン現代英英辞典で調べてみる。
if there is a possibility that something is true or that something will happen, it might be true or it might happen
https://www.ldoceonline.com/jp/dictionary/possibility より引用
possibilityは、未来に起こりうるという意味での「可能性」と、未来に、未来に起こっている「可能性」と、現在起こっているかもしれない「可能性と」現在起こっているという意味での「可能性」という、四つの意味がある。
日本語にすると、くどいように思うだろうが、英語なら理解しやすい。さらに、実際に長文に出るとき、この細かいニュアンスを押さえておくと、次に出てくる文を予測しやすくなる。これは英語学習者にとってかつてないほどの利点といえよう。
そもそも、日本語が理解できてない。
“Cognitive”
この単語の意味を頭に浮かべてほしい。
おそらくあなたは「認知の」とか、「認知的」と答えただろう。
だが、「認知的」がどんな意味か、すぐに答えられるだろうか。どんな時に日本語で使われているか、頭に浮かぶだろうか。
「認知」とは、ネット辞典のweblioによると以下のことらしい。
つまり、認知とは、情報を理解する「過程」である。あなたはそこまで考えただろうか。この細かなニュアンスの違いが積もりに積もって、英語長文が理解できないのである。おわかりいただけただろうか。
今やったことは、英語を日本語にして、日本語で意味を調べて、英語に戻るということである。これはかなりのタイムロスであるし、これをするなら日本語の辞典で勉強する時間と、英語の辞典だけで勉強する時間、それぞれ作った方が効率的である。
さらに、本来、英語にとって日本語は異質な存在であるはず。英語を勉強しているときに日本語を使う時、脳は余計な負荷をかけている。英語だけで考えるから、英語の感覚が育つ。
実際の長文でも、「こういう言い回しは、英語ではよくすることだから、きっとこういう意味なんだろう。」と、知らない熟語の推測もできる。つまるところ、語学は、思考を育てるツールであるから、英語脳が育てば、自分の知らない思考の幅が広がる。自分自身の可能性が広がるのである。(この話の続きは別のブログでしたい)
英英辞典は、英語の感覚が育つし、英単語の深い意味の理解が速い。おまけに、今まで勘違いして記憶していた微妙なニュアンス違いの単語も、理解し直すことができる。最高の語学勉強ツールである。
もちろん、初学者にとって英単語を日本語で覚えることは、必要だろう。だが、ある程度のレベルになると、日本語はほとんど必要ないのである。
英英辞典で、わからない単語が続出して迷子になった時のコンパスがわりに日本語を使うくらいでちょうどいい。
それはさておき、先ほどのcognitive という単語を英語辞典を頼ってみよう。(ロングマン英英辞典)
related to the process of knowing, understanding, and learning something
しっかり、情報を理解する過程という意味で書かれている。
(注)related…関連した
どうだろう。実に頼り甲斐のある相棒だろう?
英語を推測する力がつく
さて、話は英語の一文になる。
初めに提示した、possibility の説明、これは説明すべき言葉が説明に入っている。循環定義といわれるこの現象は、日本語では考えにくいことであろう。
しかし、これは英語の性質から言えるものだ。
詳しく言うと、英語は、わかりやすい・言いやすいことから言うのが基本である。
日本語は、結論は後に、説明を先にする。
英語は,結論を先に、結論を後にする。
わかりやすいように具体例を挙げる。
日本語の会話を英語にしてみよう。
Yesterday, with my friend… I watched a movie… but… I didn’t like it… hmm…
(昨日ね、友達と映画を見たんだ、でもね、あんまり好きじゃなかったな…。)
英語の会話は、こうだ。
I didn’t like the movie.
(あの映画好きじゃなかった)
I watched it yesterday with my friend.
(昨日それ見たんだけどね)
It was boring…
(つまらなかったな)
英語と日本語で語順が異なる。これは、多くの人は聞いたことがあるかもしれない。
しかし、実は、この性質が使われてまくった英英辞典は、単語を推測する力がつくのである。
前後の内容から知らない単語を推測する。多くの英語学習者が得たいと思っている能力が、勝手に身についてしまうのである。なんとありがたいことであろうか。
単語を調べるうちに、関連性のある別の単語も勝手に覚えている。
この単語の意味を調べる、、、
この意味わからない、、、、
これもわからない、、、
一つの知らない単語を見つけたら、三つの知らない単語を覚えている。これは英英辞典を使う学習者にとってよくある話である。
英文解釈の練習になる
話は変わって、短い文を読む練習について考えてみよう。
英文解釈とは、短い英文を日本語に訳して理解することだ。
つまり、英英辞典で、理解しにくい文を読んで読めるようにすれば、その分だけ英語力が伸びるのである。単語も覚えれて、英文解釈の練習にもなる。というわけだ。
ここで、英英辞典で調べて、よくわからなった時、単語の意味を記した文の意味を調べる方法を教えよう。
使うのはAI(chat GPT4o)
わからないフレーズ、文を○○にコピーしよう。もちろん言うまでもなく英語でかえって来るのだが、これがまたわかりやすい。AIを使うのが苦手な人は、ぜひ今の機会に使ってみてほしい。
「I’m learning English. Could you explain ‘〇〇〇’ in a way that’s easy for ESL learners to understand?」
また、似たAIに、「Gemini」や「copilot」があるが、英英辞典では「chat GPT」をお勧めする。
長文読解の時、より多くの情報を理解できる
先ほども少し触れた、英英辞典は普通の単語帳よりも情報が深いという話。
日本人の多くは英語を日本語に翻訳して読んでいる。では、英語学習の上級者はどうなのかというと、TOEIC満点予備校講師のもりてつ先生は、基本的には英語は英語で読んでいるという。しかし、専門的な話題になると頭を切り替えて英語を日本語に翻訳して理解しているんだそう。このことからわかることはつまり、英語を英語のまま理解する(=スピーディーに理解する)ためには、英語の話題そのものに慣れていないなければいけない。英語の話題に慣れえるというのはどういうことか。これは、
英語圏の「内容」「背景」「常識」「価値観」に自然と反応できるようになること。
これをできるようにするには、長文と対面したとき、いうまでもなく、その話題をするときに必ず出てくるであろう単語を知っていなければいけない。
さらに、その話の根本となる話題を要約している知識を知らなければいけない。
あなたがこれをできているか調べる方法がある。それは、話を読んでいて、続きの内容を推測しながら読めているかどうかということだ。もしあなたが、それをできていないなら、英語を英語のまま読めていない可能性が高いだろう。
実際のやり方

(著作権の観点からぼかしてある)
実際のやり方は簡単である。英英辞典(ロングマン英英辞典)で知りたい単語を検索して、知りたい単語と、その説明をそのまま書くだけである。
それでは皆さん。よき英英辞典ライフを。